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暮らしに根付き、永く愛されるものを探し出す

Found MUJI青山(東京都渋谷区)

vol.41 暮らしに根付き、永く愛されるものを探し出す

 東京・表参道から渋谷へ向かう国道246号沿いに立地する「無印良品」青山店が2011年11月、「Found MUJI青山」としてリニューアルした。

 外から見たショーウィンドウは、見慣れた「無印良品」とは異なる趣。店内に入ると、初めて見るけれど、何だかとても魅力的な生活用品がずらりと並ぶ一画がある。無印良品に関わるデザイナーたちが世界を旅して集めてきた、人々が暮らしのなかで使い続けてきた日用品だ(非売品も多い)。

 モロッコ製の敷物、中国製のフェルト帽、インド製の金属カトラリー、イタリア製のジョウロ...。どれも味のある風合い、形、質感をしている。

「ほとんどが1点物で、値をつけられないんです。実はこのコーナーには、Found MUJIの考え方(後述)を伝えようという趣旨がありまして」と、店長の稲富由里子さん。

 店内には、現地のものに改良を加えながら無印良品として商品化されたものもある。たとえば、フランスの家庭でごく一般的に使われている非常用懐中電灯。日本人が使いやすいように、光源をLEDに換えたり電池の差し込み口の形状に手を加えたりして商品化されている。

 無印良品はもともと、ものをつくるというより「探す、見つけ出す」という姿勢で生活を見つめてきた。それぞれの土地に根付き、永く愛され使われてきた服や食器などの日用品を世界中から探し出し、それらを今の生活の品質基準に合わせ、作り手と対話しながら改良し、無印良品のものとして仕立て直す。

 2003年からはこの活動を「Found MUJI」(見出されたMUJI)と名付け、さらに世界中の人々の生活に密着するような旅を続けていく。この活動を集約させた店舗をつくろうということで、無印良品の第1号店であり、情報発信には好立地の青山店がFound MUJI青山として生まれ変わったのだ。

商品を介しての顧客とのやりとりが、とても楽しくて有意義、と稲富さんは笑顔を見せる。

「お客様は、物の背景やストーリーなどに興味を持たれています。私たちもデザイナーとの対話を密にして、現地の人々がどんな思いでそれを使って暮らしているか、伝えていきたいですね。逆に、かつて現地を旅したことがあるお客様から、こういう使われ方もしていたよ、などと教えていただくこともあります」

 顧客との対話を重ねながら、ともに暮らしのなかで愛される道具を見出し、探し続けていく。Found MUJI青山をそういう場にしていきたい、と語ってくれた。

(文・中村数子)

Found MUJI青山
□東京都渋谷区神宮前5-50-6中島ビル1~2F
□営業時間:平日11時~21時日・祝11時~20時
□Tel. 03-3407-4666