ストンとぶち抜きの体育館のような店内には、約5000冊の写真集がズラリ。木の温もりと柔らかな日差しのなかで、ごはんを食べたり、写真集を眺めたり。今年２月、恵比寿に誕生した「写真集食堂 めぐたま」を一言で表現するなら、「プロが集まってつくった、肩ひじの張らない、ゆる0い空間」。建築家・村井正さんの考案したエアロハウスという構法が、柱のない木造の大空間を実現した。店舗デザインは橋本夕紀夫さんが手掛けている。

　作家ごとに並べられた本棚には、写真評論家・飯沢耕太郎さんの蔵書が並ぶ。「貴重な本が汚れないか？」という心配の声もあがったが、写真の面白さ、楽しさを味わってほしいという飯沢さんの懐の深さが、この店の雰囲気を象徴している。

　全体の企画運営を担うのが、コミュニケーションアーティストのときたまさん。仕掛けるイベントも、飯沢さんの写真講座やトークショー、建築、デザイン、社会活動、手芸、食事会や茶会までバラエティに富む。「めぐたまTV USTREAM」も始まり、さまざまなプロジェクトも進行中だ。

　料理担当のリーダーはおかどめぐみこさん。平日お昼の季節の一汁三菜ランチ（1000円）はじめ、珍しい食材を含めた旬のメニューが日替わりで登場する。夜は一品料理をつまみながら、広島相原酒造の純米酒「めぐたま」で盃を傾け、いい気分に。名物のソフトクリームなど、甘味も充実。一緒に厨房に立つスタッフの得意料理も並び、一期一会の味覚を楽しめる。

　まるで街の広場のように寛げる食堂。大らかな空気が、年齢性別を問わず、多くの人々に愛されている。（文／永峰美佳）