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京都に帰ってきた箱と紙の専門店

WORK & SHOP by BOX & NEEDLE(京都市下京区)

vol.511 京都に帰ってきた箱と紙の専門店

 京都の街を歩いていると、「紙器」という看板を見かけることがある。商品を入れる箱をつくるところだ。BOX & NEEDLEの母体になっているのは、京都で創業100年になろうとしているマルシゲ紙器。さまざまな箱や、その上に紙を貼って化粧した貼箱を製造している。

「商品が手元に届いてしまうと、箱は捨てられてしまいます。捨てられない箱をつくりたかったのと、貼箱をつくる職人がいるということを知ってほしかったんです」という大西景子さん。BOX & NEEDLEのディレクターで、マルシゲ紙器の4代目に当たる。2009年に東京、二子玉川に貼箱専門店をつくり、2014年5月、京都、五条の古いビルの3階に、京都アトリエをオープンさせた。同じフロアには「うつわ京都やまほん」がある。

 店内には大小、四角や円筒形、三角錐などさまざまな形の美しい貼箱と、箱に貼るための紙がある。ワークショップでは、箱に好きな紙を貼るカルトナージュの技法を教える。昔から貼箱に使う、ニカワを使っての作業だ。

 紙はイタリアやドイツ、ネパールなど、大西さんが世界各国をまわって集めたもの。陶芸作家、鹿児島睦さんのイラストを用いた紙や、友禅工房で刷られたオリジナルペーパーも含めて数百種類。なかには海外の店でたまたま見つけたデッドストックの紙など、貴重なものもある。

「紙には、その国の文化や技術が詰まっているんです。それなのに、昔ながらの紙をつくる工房はどんどん減っています」

 箱と紙。その楽しみはシンプルだけど奥が深い。 (文・田川公子)

WORK & SHOP by BOX & NEEDLE
□京都市下京区五条通高倉角堺町21 jimukinoueda bldg. 3F 303
□Tel. 075-748-1036
□月・金曜13:00~18:00
 土・日・祝日12:00~19:00